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大森のアトリエ 
 (Atelier Fuuchi)  2022

所在地 : 東京都大田区

用途 : 事務所(リノベーション)

竣工 : 2022年2月

規模 : 40.50㎡

構造 : 鉄骨鉄筋コンクリート造

階数 : 地上9階(対象区画)

施工 : 東協建築(現:RINZ)

​撮影 :  Forward Stroke Inc.

掲載 :  KJ2022年8月号  LINK

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​改修前

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​改修前 床下地

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​『地層×グリーン』

 東京、大森駅の近くで、築48年のSOHOビルの一室にランドスケープアーキテクトのアトリエを計画した。計画地の近くには大森貝塚遺跡庭園という公園が整備されており、大森貝塚は日本初の学術的な発掘調査が行われたため、「日本考古学発祥の地」と呼ばれている。そのような地歴のある土地で、ランドスケープのアトリエを計画するに当たって、『地層×グリーン』をコンセプトにデザインを組み立てた。

 

 室内には植物が置かれることから、壁は植物との相性を考慮して、淡いグリーンの水性塗料で仕上げた。床は植物を置いたり、自由な使い方が出来るようにセルフレベリング材仕上げとし、明るく透明感のあるインテリアを目指した。シナ合板のボックスを積み上げた積層棚など、家具は地層をイメージして、積層合板で製作した。積層棚はA4ファイルボックスがぴったり納まるように寸法を決め、2種類の寸法の棚を、隙間を開けながら積み上げて構成している。デスクの天板には積層合板の上に天然素材のリノリウムを貼って仕上げた。

 元が古い建物のためか、窓辺には手摺がなかった。そのため、窓が開く部分については、落下防止のため、梯子状の面格子をデザインし、積層合板で製作した。平時はツタ植物を絡ませることもできるが、災害時には窓から救助できるように、横にスライドさせて取り外し可能なディテールとした。

​ 築48年の建物は生きた歴史であった。元々置かれていた巨大な床置き空調は、現在は殆ど使われていない室外機一体型であり、外部に室外機置場はなかったため、空調はウィンドウエアコン以外に選択肢はなかった。壁紙を剥がすと過去幾度にも亘る張り替え跡の紙が残っており、塗装の下地調整には多大な時間を費やした。床はタイルカーペットを剥がすと下地モルタルの劣化が激しく、また部分的に凹凸も見られたため、新たに防水シートを貼り増した上で、セルフレベリング材でフラットに整えた。

 他にも、改修前に漏水があったため対処に時間を要したり、排水管の管内清掃を行ったりと、配管設備への対応は慎重に行った。また、ユニットバスを解体して倉庫に変更した部分については、古い躯体を見られるように、天井と梁型は素地のままとした。

 このように、半世紀前の建築をリノベーションするのは、地道な対処療法の積み重ねであり、解体しながら計画を練り直す過程は『建築考古学』とでも呼びたい程に手間がかかった。それでもこの空間を長く快適に使い続ける事に価値を見出したクライアントには敬意を表したいし、日本でもこうした建築ストックを長く活用していく時代に入っている事は喜ばしい事だと考えている。

改修後 倉庫

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Modular

Bath

Modular

Bath

AC

AC

BEFORE PLAN

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1. 倉庫
2. 事務室
3. 打合せ室
4. トイレ

AFTER PLAN

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LAYERED SHELVES

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