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PROPOSAL
ふなもりのやさしいトイレ

2025
UNBUILD 

所在 : 東京都八王子市

用途 : 公衆トイレ

提案 : 2025年

建築面積 : 約50

構造 : 鉄骨造

階数 : 地上1階

​『 ふなもりのやさしいトイレ 』

「八王子市舩森公園トイレ設計コンペ」応募作品

 

 八王子市は豊かな水や自然に恵まれ、かつては養蚕・撚糸・織物などの産業でも栄えた街である。

 敷地の隣には八王子市内最古の神社である子安神社があり、昔からこの土地や道行く人々を見守ってきた。ここは現在でも豊富な湧水に恵まれた場所であり、近隣駅の利用者をはじめ、急ぎ足の人や、少し立ち止まりたいと感じる人など、様々な人が行き交い、立ち止まる場所である。

 公衆トイレには近年さまざまな課題があるが、最も大切なのは利用者に対する「やさしさ」ではないかと考えた。ここで言う「やさしさ」とは、思いやりのある「優しさ」と、利用しやすくわかりやすい「易しさ」の両方を意味する。この2つの視点から、「ふなもりのやさしいトイレ」を提案した。

 地域の文化や自然、そして人の流れからインスピレーションを得て、湧水から育まれた織物をモチーフとした船の帆のような外観デザインを考えた。これによって建物の形状においても「やさしく包まれ、歴史や文化を感じられる空間」となることを目指した。外構には、湧水の波紋や舩森公園の円形のデザインを継承し、円形をモチーフとしてデザインした。

 このトイレは単なる機能施設ではなく、利用者にとって安心できる場所であり、静かにひと息つける空間となることを意識して計画した。男女共用・女性用トイレに加え、親子で使える「こどもゆうせんトイレ」や「だれでもトイレ」を設置することで、子どもや高齢者、性的マイノリティなど、様々な利用者に対応する。

 

 安全面については、まちの視線が届くように配慮しつつ、防犯カメラや十分な照明計画を検討し、誰もが安心して使えるトイレを設計した。さらに維持管理面では、わかりやすいピクトグラムや多言語対応を取り入れ、誰にとっても「正しく、迷わず使える」トイレとし、素材や構造をシンプルにすることで、修繕や点検がしやすく、長く清潔に保つことができるよう提案した。

 地域に根ざし、人にやさしく、まちの記憶と共にあり続ける。「ふなもりのやさしいトイレ」は、そのような新しい公共空間のあり方をめざした提案である。

©2019-2025 MASAKI SUZUKI ARCHITECTS Ltd.

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